難経七十九難 強気な発言の裏側には繊細な感情が…

難経 七十九難のみどころ

七十九難には『霊枢』九鍼十二原および小鍼解の語句を用いて補瀉法を説いている。しかし当然『霊枢』にはない『難経』独特の補瀉法として読み解くことが要求される。七十難から通して読むと分かると思うが、難経鍼法には扁鵲の世界観がふんだんに込められている。

この七十九難の特徴は子母関係を用いた補瀉であること。そして「若有若無」という表現を用いていることである。この二つに七十九難鍼法を理解するヒントが込められている。
それでは難経七十九難の本文を読みすすめてみよう。


※『難経本義』京都大学付属図書館より引用させていただきました。
※以下に書き下し文、次いで足立のコメントと原文を紹介。
※現代文に訳さないのは経文の本意を損なう可能性があるためです。口語訳は各自の世界観でお願いします。

難経 七十九難の書き下し文

書き下し文・難経七十九難

七十九難に曰く、経に言う迎えてこれを奪う、安んぞ虚する無きを得ん。随いてこれを済う、安んぞ実する無きことを得ん。
虚と実は、得るが若く失うが若し。実と虚は、有るが若し無きが若しとは、何の謂い也?

然り。
迎えてこれを奪うとは、その子を瀉する也。
随いてこれを済うとはその母を補う也。

假令(たとえば)心病みて、手心主の兪を瀉するは、是れ迎えてこれを奪う者を謂う也。
手心主の井を補うは、是れ随いてこれを済う者を謂う也。

所謂(いわゆる)実と虚とは、牢濡の意なり。気来たりて実牢なる者は得るとを為す。濡虚なる者は失うとを為す。
故に曰く、得るが若く失うが若く也と。

まずはおさらい

古文の表現「○○なんてあり得ない!」

冒頭文は「安(いずく)んぞ…無きを得ん」の繰り返しである。

チョット古文のお勉強

古語で習ったように「安んぞ…」とは「どうして…であろうか!」である。

☞「安んぞ…有ることを得ん!?」とは「安んぞ・・・有り得るのか!?」という反語表現。
つまり「どうして…有り得ようか!?(有り得るはずがない)」の意となる。

本文では有るではなく無しなので「どうして・・・しないはずがない!」となり、
☞「迎而奪之(瀉法)を行ったので、実邪が虚しないはずがない。」
☞「随而済之(補法)を行ったので、正気が実しないはずがない」という意になる。

このように七十九難ではまず補瀉の効果について明言している。

「瀉鍼を行ったので実邪が虚さないはずがない」
「補鍼を行ったので正気が実さないはずがない」

これは『霊枢』からの引用とはいえ、かなり強い表現の前提条件である。しかしこの鍼の効果を示すことに“今さら感”を覚えるのは私だけであろうか…。

実はこの補瀉の効果に関する強い表現にもヒントが込められているのでは…?と感じるのだ。
なぜならこの次の表現が一転して不明瞭である。「若得若失」「若有若無」である。

ここで一旦『霊枢』の確認をしよう。

今度は『霊枢』のおさらい第一と第三

『霊枢』九鍼十二原第一には「迎而奪之、悪得無虚。追而濟之、悪得無實」とある。
また小鍼解第三では「迎而奪之者、寫也。」「追而濟之者、補也。」とある。

両篇では「迎而奪之」を瀉法、「追而済之」を補法として定めている。
(『霊枢』では追、『難経』では随とあるが、共に“したがう”の意)

さて『霊枢』では「迎而奪之」を瀉、「随而済之」を補としたが、文脈からみて往来の順逆に対する“迎”と“随”である。氣の流れ・往来に対する迎随であることは言うまでもない。
しかし『難経』七十九難における迎随はどうも様子が違う。ここでようやく七十九難本文に戻ろう。

七十九難ではひと味違った迎随を提示

七十九難本文では“子母関係”における迎随を明示している。これは『霊枢』とは明らかに異なる点であり、いかにも難経鍼法と思わされる点でもある。そして子母関係を利用できるのは、六十三難から六十五難まで理論構築をしてきた井栄兪経合の五輸五要穴である。

この井栄兪経合を用いた鍼法…となれば本難の鍼法は「●氣を対象とした鍼法」であることが理解できる。となれば、冒頭の強い前提条件の提示、そして一転して曖昧模糊とした表現の連続も納得できる。

本難の構成は以下の通りとみる。
①「●氣を対象とした鍼法」であることを明示
② その鍼法のコンセプトを提示
③ その鍼法のマニュアルを提示
④ この鍼法を実際に行った後の脈の変化を提示

…と、いかにも初学者向けの内容にもみえるが、実際に“有るが若く無きが若き存在”に鍼治を行い、その変化も“得るが若く失うが若きの変化”であるため、このように強く印象付けて導く必要があったのであろう。

また難経の構成上(現存する難経の順番が正しいとすれば…であるが)、前難七十八難の鍼法とはまた異なるコンセプトであるため、このように丁寧に指定する必要もあったのかもしれない。

七十九難に関する各注釈書のご意見

以上のように私見を主に述べさせてもらったが、歴代の医家たちはどのように七十九難を説いているのであろうか?各難経系注釈書をみてみよう。

『難経本義』七十九難註

『難経本義』は滑伯仁の意見である。後代の医家たちは七十九難の解釈に滑氏の意見をよく採用している。

『難経本義』七十九難

『霊枢』第一篇(九鍼十二原)に出でたり。
得とは求めて獲る也。失とは縦也。遺也。
其の第三篇(小鍼解)に曰く「言實與虚、若有若無」とは謂わゆる実する者は氣有り、虚する者は氣無き也。
「言(為では?)虚與實、若得若失」とは謂わゆる補するとは佖然として得ること有るが若し也。瀉するとは怳然として失うこと有るが若し也。
即ち第一篇の義なり。

■原文
出靈樞第一篇、得求而獲也。失縦也。遺也。
其第三篇曰、言實與虚、若有若無者謂實者有氣、虚者無氣也。
言虚與實、若得若失者、謂補者佖然若有得也。瀉者怳然若有失也。
即第一篇之義。

迎えて之を奪うとは寫也。随て之を済うとは補也。
仮令(たとえば)心病む。心は火也。
土は火の子と為す。手心主の兪は太陵也。
実するときは則ち之を寫す、是れ迎えて之を奪う也。
木は火の母、手心主の井穴は中衝也。
虚するときは則ち之を補う、是れ随いて之を済う也。
迎とは前に於いて迎う、随とはその後に随うもの。
此れ心を仮りて例と為す。而して補寫するときは則ち手心主を云う。これ即ち『霊枢』の謂う所の少陰に兪の無き者也。当に六十六難と並び観るべし。
■原文
迎而奪之者寫也。隨而濟之者補也。
假令心病心火也。土為火之子、手心主之兪太陵也。
實則寫之、是迎而奪之也。木者火之母、手心主之井中衝也。虚則補之、是隨而濟之也。迎者迎於前、隨者隨其後。此假心為例。
而補寫則云手心主、即霊樞所謂、少陰無兪者也。當與六十六難並観。

氣来たること実牢・濡虚なるは随済・迎奪を以てして得失を為す也。
前に云う「虚と実は、得るが若く失うが若く(言虚與實、若得若失)」「実と虚は、有るが若し無きが若し(言實與虚、若有若無)」
此れらは“実と虚は、得るが若し失うが若し。(實之與虚、若得若失)”。蓋し得失有無の義は、実は相い同じ、互いに之を挙げて省文するのみ。
■原文
氣来實牢、濡虚以隨濟迎奪而為得失也。前云、虚之與實若得若失、實之與虚、若有若無。此言實之與虚、若得若失。蓋得失有無義、實相同、互擧之。省文爾。

『難経評林』七十九難註

『難経評林』は明代の医家、王文潔による難経系注釈書である。

『難経評林』七十九難

此に言う鍼法の瀉なるは正に其れを虚さんと欲す。補するは正に其れを実さんと欲す。
虚実の意は外ならず。得失有無の間なり。
経に言う病の実なる者は、當に鍼法瀉を行うべき也。
茲に焉(いずくんぞ)其の気の方(まさ)に来たるを迎えて鍼を用いて之を瀉するときは則ち実する者は虚さん。
安んぞ虚する無きことを得ん也。
病の虚なる者は、當に鍼法補を行うべき也。
茲に焉(いずくんぞ)其の気の方(まさ)に往くに随いて鍼を用いて之を補すときは則ち虚する者は実さん。
安んぞ実する無きこと得ん也。
所謂(いわゆる)虚実なるは、得失有無の謂を過ぎざるのみ。
故に「虚之與実」とは得るが若く失うが若し。蓋し補して実する者は、怭然として得る所有る也。瀉して虚する者は、怳然として失う所有る也。
「実之與虚」とは又た有るが若く無きが若き也。
蓋し補して実する者は、氣の有るが若し也。瀉して虚する者は、気の無きが若し也。
夫れ虚実の意は、唯だ得失有無、疑議を以て而して一氣に於いて帰するべし、則ち経に言う良有故焉。
果して何を以てその迎奪随済の法を為すか、及び得失有無を知らんや。

■原文:此言鍼法瀉者、正欲其虚。補者正欲其實。虚實之意、不外乎。得失有無之間也。
經言病之實者、當行鍼法瀉也。茲焉迎其氣之方来而用鍼瀉之、則實者虚矣。
安得而無虚也。
病之虚者、當行鍼法補也。茲焉隨其氣之方往而用鍼補之、則虚者實矣。
安得無實也。
所謂虚實者、不過得失有無之謂耳。
故虚之與實、若得若失、蓋補而實者、怭然有所得也。瀉而虚者、怳然有所失也。
實之與虚、又若有若無也。
蓋補而實者、若有氣也。瀉而虚者、若無氣也。
夫虚實之意、唯得失有無可以疑議而歸於一氣、則經言良有故焉。
果何以知其為迎奪隨濟之法。及得失有無也。

此れ明らかに経に言う、迎とは其の子を瀉するに在り。随とは其の母を補するに在り。
即ち手心主の一経を例と為すを以て也。
所謂(いわゆる)迎えて之を奪うとは他に非ざる也、穴の子を瀉することを過ぎざるのみ。
所謂(いわゆる)随いて之を済うとは他に非ざる也、穴の母を補することを過ぎざるのみ。
曷?即●?、心の一経を病む者、之を観る。
仮令(たとえば)人の心病、當に治すべきに、心主一経、即ち手厥陰心包絡也。
其の経絡の行り、腋下の天池に於いて始まりて中指中衝に於いて終わる也。
心は本と火に属する、故に栄穴は労宮。乃ち本経の所属なり。
其の手心主の腧大陵穴は土に属して火の子と為す。
その実を瀉さんと欲すれば、当に手心主の腧を瀉するべし。是れ迎えて之を奪うと謂う也。
手心主の井である中衝穴は木に属して、火の母を為す。
その虚を補さんと欲すれば、当に手心主の井を瀉すべし、是れ随いて之を済うと謂う也。
此れ本経に病有れば、自ら其の子母を為す者を取る、而して迎奪随済の義を識るべしなり。
且つ「実與虚」と謂う者、外ならずと雖も、得失有無の間にして、吾これを論ずる。
その殆脉體中、虚濡實牢の意なり。
彼の脈の来たること実牢なる者は、即ち鍼法の補なる者。得る所の有るが若きのみ。
脈の来たること虚濡なる者は、即ち鍼法の瀉なる者。失う所の有るが若きのみ。
故に虚之與実、若得若失と曰う也。
此れに由りてこれを観るときは、則ち所謂(いわゆる)若有若無なる者は、不可なるべし。
即ち其の虚濡なるは、而して其の無しと為すことを知らん。
即ち其れ実牢なるは而して其れ有と為すことを知らん哉。

■原文:此明經言、迎者在瀉其子、隨者在補其母、即手心主一經以為例也。所謂迎而奪之者、非他也。
不過瀉穴之子耳。
所謂、隨而済之者非他也。
不過補穴之母耳、曷?即●??、心病一經者、観之。假令人心病、當治乎。
心主一經、即手厥陰心包絡也。其經絡之行、始於腋下天池而終於中指中衝也。
心本属火、故栄穴労宮。乃本經所属焉。
其手心主腧大陵穴属土為火之子。欲瀉其實、當瀉手心主腧、是謂迎而奪之也。
手心主井中衝穴属木、為火之母。欲補其虚、當瀉手心主井、是謂随而濟之也。
此本經有病、自取其為子母者、而迎奪随済之義、可識矣。
且謂實與虚者、雖不外乎、得失有無之間、而吾論之、其殆?脉體中虚濡實牢意也。
彼脉来實牢者、即鍼法之補者、若有所得耳。脉来虚濡者、即鍼法之瀉者。若有所失耳。
故曰虚之與實、若得若失也。
由此観之、則所謂若有若無者、不可即其虚濡而知其為無。即其實牢、而知其為有哉。

徐而疾則實とは、徐ろに納れて疾く出すことを言う也。
疾而徐出則虚とは、疾く納れて徐ろに出すことを言う也。
言實與虚、若有若無とは、実なるは氣有り、虚なるは氣無きを言う也。
察後與先、若亡若存とは、氣の虚實、補寫の先後を言う也。其の氣の已下と常存とを察する也。
為虚與實、若得若失とは、補は佖然として得ること有るが若し也。寫すれば則ち怳然として失うこと有るが若しを言う也。
滑伯仁が曰く、氣の来たることの実牢・虚濡には、随済・迎奪を以て得失を為す也。
前に云う実之與虚、若有若無。虚之與実、若得若失は此れ実之與虚、若得若失を言う。
蓋し得失有無の義、実に相い通ずる互いに之を挙て文を省くのみ。

■原文:灵樞小箴篇云、迎而奪者瀉也、随而済者補也。
徐而疾則實、言徐納而疾出。疾而徐則虚、言疾納而徐出。
言実與虚、若有若無、実者有氣、虚者無氣也。
察後與先、若存若亡、言氣之虚実、補瀉之先後、察其氣已亡與常存也。
為虚與実、若得若失者、言補者佖然若有得、瀉則怳然若有失也。
滑伯仁曰、氣来実牢虚濡以随済迎奪為得失也。前云実之與虚、若有若無。虚之與実、若得若失。此言実之與虚、若得若失。蓋得失有無義実相通互文●之省文耳。

『難経或問』七十九難註

『難経或問』は1715年、江戸期の医家、古林見宜の手による難経系注釈書である。

『難経或問』七十九難

或る人問いて曰く、七十九難に迎隨を論ずは七十二難と相い反するに似たる、
何如(いかに)?
対えて曰く、然る也。
然れども亦た各々当たる処の所有り。大概して迎隨に二つ有り。
逆順迎随あり、子母迎随あり。
七十二難の言う所は逆順迎随なり。此の篇の載する所は子母迎随なり。
蓋し迎とは前に於いて之を迎う。子は前に在り、故に実するときは則ち其の前に迎え、以て其の子を瀉す。
是れ亦た迎の法に非ずして何ぞや!?
随とは其の後に随う。母は後に在り。故に虚するときは則ち其の後に随い、以て其の母を補う。
是れ亦た随の法に非ずして何ぞや!?
曰く、氣の来たること実牢なる者は得ると為し、濡虚なる者は失と為す。
此の氣の字は動脈の氣を指すか?鍼下の氣を指すか?請いて之を聞かん。
曰く、本文は専ら鍼下の氣を指して言う。蓋し鍼下の氣の得失は甚だ窺い量るに難し。
故に若得若失と言う也。必ずしも動脈を指すに非ざる也。
然れども医たる者は動脈を兼ねてその氣の得失を察せずんばあるべからず。
故に王文潔は脈氣を以て論ずる所の者も正意と為さざると雖も、亦た医家の一階範也。。

■原文
或問曰、七十九難、論迎隨與七十二難似相反、何如。
對曰、然也。
然亦各有所當之處。大概迎隨有二、有逆順迎隨、有子母迎隨。
七十二難所言、逆順迎隨也。此篇所載、子母迎隨也。
蓋迎者迎之於前、子在前。故實則迎其前、以瀉其子。是亦非迎之法、而何哉。
隨者、隨乎其後、母在後。故虚則隨其後、以補其母。是亦非隨之法、而何哉。
曰、氣来實牢者為得、濡虚者為失。此氣字指動脉之氣乎、指鍼下之氣乎。請聞之。
曰、本文専指鍼下之氣而言。蓋鍼下之氣得失甚難窺量。故言若得若失也。非必指動脉也。
然為醫者不可兼動脉而不察其氣之得失。故王文潔以脉氣所論者雖不為正意、亦醫家之一階範也。

『難経古義』七十九難註

『難経古義』は1760年に加藤俊丈(滕萬卿)による難経系注釈書である。。

『難経古義』七十九難

按ずるに『霊枢』小鍼解に曰う
「実と虚とは、有るが若く無きが若くを言う者は、言わば実なる者は氣有り、虚なる者は氣無き也。」
「虚と実とは、得るが若く失うが若きと為す者は、言わば補とは佖然として得ること有るが若き也。寫は則ち怳然として失うこと有るが若き也。」
所謂(いわゆる)有無とは、病の所在を指して言う。邪氣の実なる処を、是れ之を有ると謂う。正氣の虚する処、是れ之を無しと謂う。
所謂(いわゆる)得失とは、行鍼の事を指して言う。
虚とは聚氣を主とす、是れ之を得ると謂う。実とは散邪を主とす、是れ之を失と謂う。
蓋し此の篇の言う所は、子母迎隨にして前篇の義と已に異と為す。
即ち『霊枢』に云う所の「後と先、存するが若く亡くするが若きを察する者とは、氣の虚実、補寫の先後を言う也。」
此の篇の虚実二字に尤も深意の存すること有り。
乃ち知る、朝三暮四を更に朝四暮三と為すことに。両岐を依違にして未だ以て定とすべからず。
故に曰く、実と虚とは、牢濡の意也。
所謂(いわゆる)牢を邪実と為すときは則ち濡は正虚と為す。濡を邪虚と為すときは則ち牢を正の実すると為す。
文を互いにして之を言う。読む者は等閑の看と為すこと莫かれ。

■原文
按靈樞小鍼解曰、言實與虚、若有若無者、言實者有氣、虚者無氣也。
為虚與實、若得若失者。言補者佖然若有得也。寫則怳然若有失也。
所謂有無者、指病之所在而言。邪氣實處、是謂之有。正氣虚處、是謂之無。
所謂得失者指行鍼之事而言。
虚主聚氣、是謂之得。實主散邪、是謂之失。
蓋此篇所言、子母迎隨而與前篇義已為異。
即靈樞所云、察後與先若存若亡者、言氣之虚實、補寫之先後也。
此篇虚實二字尤有深意存焉。
乃知朝三暮四更為朝四暮三。依違両岐未可以定。故曰實與虚者、牢濡之意也。
所謂牢為邪實、則濡為正虚。濡為邪虚、則牢為正實。
互文言之。讀者莫為等閑看。

『難経註疏』七十九難註

『難経註疏』は名古屋玄医(1628-1696)による難経系注釈書である。

『難経註疏』七十九難

『霊枢』九鍼十二原篇に同じ也。
病邪の実する者は鍼頭に碍ること有りて得るが若し。
病氣の虚する者は鍼頭空虚にして失うが若し也。
虚する者は鍼を弄して補うときは則ち空虚の処、有るが若し。
実する者は鍼を以て瀉するときは則ち滞碍の処、無きが若し也。

■原文
同於靈樞九鍼十二原篇也。
病邪實者針頭有碍若得。病氣虚者針頭空虚若失也。
虚者弄針補則空虚處若有。實者以針瀉則滞碍處若無也。

此れ子母迎随の法也。心を挙げて例を為す。他経は此れに倣え。
仮令(たとえば)心病は火也。土は火の子と為す、手心主の兪は太陵土也。
実するときは則ち之を瀉す。是れ迎えて之を奪う也。
木とは火の母、手心主の井穴、中衝木也。
虚するときは則ち之を補する。是れ随えて之を済う也。
迎は前に於いて迎えるもの、随とは其の後ろに随うもの也。
■原文
此子母迎隨之法也。擧心為例。他經倣此。
假令心病火也。土為火之子、手心主之兪太陵土也。實則瀉之。是迎而奪之也。
木者火之母、手心主之井中衝木也。虚則補之。是隨而濟之也。迎者迎於前、隨者隨其後也。

虚を補うは、鍼頭に氣来たること實牢なる者を氣を得ると為す也。
実を瀉するは鍼頭の濡虚なるを実邪を失散すると為す也。
滑氏曰く、前に云う「虚之與實、若得若失。」「實之與虚、若有若無。」
此には實之與虚、若得若失と言う。
蓋し得失有無の義は実は相い同じ、互いに之を挙げて文を省くのみ。
■原文
補虚者針頭氣来實牢者為得氣也。瀉實者針頭濡虚者為失散實邪也。
滑氏曰、前云虚之與實、若得若失。實之與虚、若有若無。
此言實之與虚、若得若失。蓋得失有無義實相同、互擧之省文爾。

以上、各医家の七十六難註を付記したが、まだまだ難経注釈書は他にもある。
興味がある先生方は各々探して目を通していただきたい。

鍼道五経会 足立繁久

難経 七十八難 ≪ 難経 七十九難 ≫ 難経 八十難

原文 難経 七十九難

■原文 難経 七十九難

七十九難曰、經言迎而奪之、安得無虚。隨而濟之、安得無實。
虚之與實、若得若失。實之與虚、若有若無、何謂也。

然。
迎而奪之者、瀉其子也。隨而濟之者、補其母也。

假令心病、瀉手心主兪。是謂迎而奪之者也。
補手心主井、是謂隨而濟之者也。

所謂實之與虚者、牢濡之意也。
氣来實牢者為得濡。虚者為失。故曰若得若失也。

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