『切脈一葦』脈状⑫-絶脈-

『切脈一葦』これまでの内容

1、序文
2、総目
3、脈位
4、反関
5、平脈
6、胃氣
7、脈状その1〔浮・芤・蝦遊〕
8、脈状その2〔滑・洪〕
9、脈状その3〔数・促・雀啄〕
10、脈状その4〔弦・緊・革・牢・弾石〕
11、脈状その5〔実・長〕
12、脈状その6〔沈・伏〕
13、脈状その7〔濇・魚翔・釜沸〕
14、脈状その8〔遅・緩〕
15、脈状その9〔微・弱・軟・細〕
16、脈状その10〔虚・短〕
16、脈状その11〔結・屋漏・代・散・解索〕


『切脈一葦』京都大学付属図書館より引用させていただきました
※下記の青枠部分が『切脈一葦』原文の書き下し文になります。

絶脈

脈絶して、手足厥冷する者、十二時の中に脈出て、手足温まる者は治すべし。十二時を過ぎて脈出ざる者は必死なり。

脈絶して手足厥冷する者、手足温らずして脈暴かに出る者は難治なり。必ず急変あり。
手足温まりて脈徐に出て微弱にして続いて絶えざる者は治すべし。

精氣虚脱して脈絶する者は再び出ることなく、病毒に痞塞せられて脈絶するものは再び出ることあり。
精氣虚脱して呼吸絶する者は蘇生することなく、病毒に痞塞せられて呼吸絶する者は呼絶吸絶の別あり。
氣を呼して絶する者は口を開いて腹勢脱す。故に蘇生することなく、吸いて絶する者は口を閉じて腹勢脱せず故に蘇生することあり。

絶脈とは文字通り脈が絶えてしまうことです。
古の脈書には以下のような言葉が記されています。

「脈は血の府(夫脉者血之府也)」『素問』脈要精微論より
「脈は気血の先である(脉者氣血之先也)」『診家枢要』(滑伯仁)より
「脈はすなわち血派、氣血の先、血の隧道、気息応ず(脉乃血派、氣血之先。血之隧道、氣息應焉)」『瀕湖脉学』(李時珍)より

言うまでもないことかもしれませんが、以上のように脈と気血は密接な関係にあります。その脈が絶えんとするということは、気血の絶・衰亡を示す凶兆でもあるのです。

上記の文では「脈絶」という脈証、「手足厥冷」という所見、つまり脈診と問診(切診で確認できるかもしれませんが)の二診合参により、逆証である可能性が極めて大であるとしています。
加えて「十二時(とき)」つまり十二刻(24時間)の後、脈が回復する場合は可治である、としています。

この時間と共にある程度の回復できるか否か?という指標は重要です。とりあえず時間をおけばどう変化するか?という漠然とした自然回復力ではなく、時間と共にはたらく体の機能を観ているのです。この辺りのことは七死脈にも通ずるものがありますね。

また病毒痞塞による呼吸の絶についての記述も實に興味深いです。

鍼道五経会 足立

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