『切脈一葦』脈状⑤-実脈・長脈-

『切脈一葦』これまでの内容

1、序文
2、総目
3、脈位
4、反関
5、平脈
6、胃氣
7、脈状その1〔浮・芤・蝦遊〕
8、脈状その2〔滑・洪〕
9、脈状その3〔数・促・雀啄〕
10、脈状その4〔弦・緊・革・牢・弾石〕


『切脈一葦』京都大学付属図書館より引用させていただきました

※下記の青枠部分が『切脈一葦』原文の書き下し文になります。
文末にデジタル図書館へのリンクを貼付。

実 長

実は陽証の脈の統名にして実を云う一種の脈状あるに非ず。
洪滑の類、惣て力ある脈を云うなり。
浮は実脈の位を云うなり。滑は実脈の体を云うなり。洪は実脈の形容を云うなり。数は実脈の数を云うなり。弦は実脈の力を云うなり。長は実脈の情を云うなり。

実証にして実脈を見わす者は論あることなし。虚証にして実脈を見わす者は真仮の別あり。
精氣脱して脈実する者は仮に実脈を見わす者にして極虚の候なり。
病毒に痞塞せられて仮に虚証を見わして脈実する者は真の実脈なり。全証を参考して脈の真仮を辨ずべし。

指を挙げて余りあり。これを按じて乏しからず。浮中沈みな力ある者を実とする説あり。
これ実は陽脈の統名にして、その脈状一ならざることを知らざるの誤りなり。
実脈は実の一字にてその義分明なり。もしこれを形容せんと欲するときは洪滑弦数などの形容字あり。
何ぞ別に実脈を論ずること有らんや。この説の如きは実脈の形容に害なしと雖も洪滑の形容と同じくして、その別を辨じ難し。
また沈実と二字用いるときは指を挙げて余りありの解、不用なり。

長は陽証の脈の舒暢なる情を形容したる者にて、長と云う一種の脈状あるに非らず。
唯 実は力を主とし、長は情を主とするのみ。その実は一にして滑脈を指すなり。
長竿を循るが如き者を長とする説あり。縄を引くが如き者を長とする説あり。三指の外に溢れ出る者を長とする説あり。これみな長の字義を論ずるのみ。脈を診する人の説に非ざるなり。

脈の位、脈の体、脈の形容、脈の数、脈の力、脈の情と区分しているのが卓見です。

私も脈診を指導する際には、脈位、脈力、脈状、脈数、脈機と5つに分類して教えるようにしています。
関連記事に『脈診の三要素』『脈診の三機』があります。

往々にして脈診を脈状のみとして覚えようとするケースが多いように見受けられます。
しかし、実際には脈診をシンプルに分解することで、理解・習得することが容易になるのです。

また「病毒に痞塞されて仮の虚証をあらわす」との記述がありますが、これは中莖氏が『切脈一葦』で伝えたい病理のひとつであります。
以下の内容を読むと、中莖氏が伝えたかった事が自ずとわかるかと思います。
この病理は臨床上しばしば見受けられる現象ですね。詳しくは下巻の時に紹介しましょう。

鍼道五経会 足立繁久

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